「俺らももう二十七だもんな、歳とるのって早いよなぁ」



太一が車の外のイルミネーションを眺めながら言う。



「あたし、結婚できんのかな」



真希がふふっと笑い、太一が「笑い事じゃねぇだろ」とぼそっと呟く。



「何よ、タッちゃんだって彼女いないじゃん。お互い様でしょ?」



真希の台詞に太一ははぁと大袈裟に溜め息をついた。



「何よ」



真希が太一をギロっと睨みつける。



「お前の専属運転手なんかしてるうちは、彼女なんかできないだろ。ひょっとしたら俺は一生、お前のアッシーで終わるのかもな」



太一は赤信号で止まった間に缶コーヒーをぐいと飲み干した。