「………え…」

月子ちゃんの予想外の言葉に、ぼくは目を丸くする。
思わず持っていた荷物を落としてしまって、月子ちゃんが顔をしかめた。
ぼくは慌てて買い物袋を拾って抱えなおす。

それからわずかに俯いて、口を開いた。
なんとなく、月子ちゃんの顔を見れなくて。

「い、いい、の…? どう、して…」

だってもうぼく達はもとの体に戻っていて。
いっしょに居る理由なんて、ひとつもないのに。

「…買い物を手伝ってくれたお礼よ。夕飯、うちで食べていけばいいと思って」
「え…ええ! そ、そんな! そんな迷惑な…っ」

「まぁ、あなたがイヤならムリにとは言わないけど」
「や、ちがうよ! イヤなわけな…っ」

慌てて否定したその時だった。

「月子!」

突如月子ちゃんを呼ぶ声が、わたわたしていたぼくの言葉を遮る。

ふたりひかれるように声の方に視線を向けると、肩で息をした男の子が、ちょうどぼく達が来た道とは反対の道からこちらを、というよりは月子ちゃんを見ていた。

「朔夜…?」