「まぁ、今はあたしなんだから、なんとかなるわよ」
「…う、ん…」
月子ちゃんがそう言うなら、本当になんとかなる気がした。
そんな風に思う自分もおかしかった。
確かに今から行くのは学校とかじゃなくて月子ちゃんの家で、ぼくも何度か(月子ちゃんの体でだけど)出入りしている場所だ。
少しは馴染んだ場所になりつつある。
と言っても、だいたい入れ替わってすぐ家から逃げ出てるから、そんなこともないと言えばそんなこともないんだけど。
だけど思えばぼくは、考えたってどうしようもできないクセに、考えて考えて結局何もできないで終わるのだ。
我ながらめんどくさい性格だな。
もうここまで来たのだから、余計なことは考えずに月子ちゃんに任せよう。
「とにかく余計なことは言わず大人しくしててくれればいいわ」
「…うん、わかった」
「あと瑠名には絶対近づかないで」
「うん…て、え、なに、どうして!?」
月子ちゃんのその思いもよらぬ拒否反応には、ちょっと傷ついた。流石に。