「つ、月子ちゃん! カレーのルーが空を飛んでるよ…!?」
「いい? 本日の目玉商品、カレールー1箱128円おひとり様2点限り。少なくとも1箱はゲットするまで戻ってくるんじゃないわよ」
「ぅええええ?! だってすごい人だかり…って、待ってよ、月子ちゃあん!!」
ぼくもとい小さな月子ちゃんの体は、一瞬にして人波に呑み込まれてしまって、月子ちゃんもといぼくの姿はあっという間に見えなくなった。
月子ちゃんはいつもこんな小さな体であの中に突っ込んでいるのかと思うと、改めてなんてパワフルなんだろうと思う。
でもやっぱり視力が悪すぎていろいろ危ない気がするので、コンタクトはした方がいいんじゃないかな。
メガネだとあの争奪戦は危ない気がするし。
…なんて、ぼくがそんなことを言ったところで、月子ちゃんには響かないんだろうな。
ぼくの言葉なんて、それくらい無力だ。
ぼく達が入れ替わるようになって3日目。
ぼくの姿であんなに嬉しそうな月子ちゃんを見たのは、初めてだった。