それは弱さだろうか。
それとも強さだろうか。
あたしにはわからなかった。
彼の体が流した涙の意味も。
ごろりと寝返りをうちながら、彼に見つからないように涙を拭う。
あたし自身が泣いていたわけじゃなかったけれど、なんとなく見られたくなかった。
それから息を吐いて、起き上がる。
「まぁあたしには関係ないから、別にいいけど」
言ったあたしに、彼はくすりと笑った。
作り損ねたへたくそな笑みだった。
「そうだね、月子ちゃんには、関係のないことだね」
あたし自身が上手く笑えないのに、彼は笑うから不思議だった。
あたしならきっと、笑えない。
そんな風にできない。
素直に泣くことも、痛みを抱えて笑うことも。
「…帰るわ」
「…え…」
「だいぶ落ち着いたし、まだ元にも戻らないみたいだけど、帰るわ」
ベッドから降りるあたしにつられるように、正座していた彼も慌てて立ち上がる。