「ごめん、少しだけ、横になっていい…?」
「い、いいよ、楽にしてて! 吐いてもいいからね、外に水道あるから、ぼく片付けるし大丈夫だよ」

なんだ、そうなのか。
この部屋と外は何度か出入りしてたけど、ぜんぜん気がつかなかった。
でもこの時期に外で頭なんか洗ったら寒いだろうな。

そんなことを思いながら、のろのろと彼のベッドに横たわる。
彼はちょこんとベッドの脇に正座しながらあたしの顔を覗き込んだ。
心配そうにその瞳が揺れている。

あたしはきっと、そんな顔しない。
そんな風に他人のこと、心配したりなんかしないのよ。

「ご、ごめんね、巻き込んじゃって…」
「…まったくだわ…」

ごろりと仰向けになって息を吐くと、体はだいぶ楽になった。
あたしの言葉に彼はまた涙ぐむ。

そんなに涙、あたしの体には無いはずなんだけどなぁ。
心と体って、不思議だ。

「…ねぇ」
「は、はい」

「日向、て…誰?」