一番さいしょ、階段から転げ落ちたとき──そして、今回。

入れ替わった時の状況を思い出して、共通点を探してみた。
それは意外と簡単に見つかった。

ぼくが“逃げたい”と、思ったときだ。
あの日も、そして今日も──。

でもそれはあくまで推測でしかないし、確証があるわけじゃない。
だからまだ、月子ちゃんには言わない。
というか、言えない。

もしそうだとしたら、入れ替わりの根本の原因はぼくだってことになる。
他人を巻き込んでまで、逃げようとするなんて──

「…ねぇ」

再び自己嫌悪の渦に呑み込まれそうだった時、月子ちゃんがぼくを呼んだ。
はっと顔を上げると、すぐ目の前に月子ちゃんが居て、ぼくを見下ろしていた。

罪悪感からか、思わずヘンな汗が流れる。

すぐまた逃げ出そうとする心が騒いだけれど、月子ちゃんからは、逃げられない気がした。