確かにぼくらの糸は繋がった。
あの日、あの時間に、あの場所で。
「桜塚健太か…あたしも何度か会ったことあるわ。名乗られてもいないし肩書きしか聞かないからフルネームは知らなかったけど」
「そ、う…月子ちゃんも会ったこと、あるんだ…」
それは流石に予想外だった。
だけど改めて考えれば納得のできることだった。
昨日、屋上にはきっと堀越恭子が居て、そこには桜塚も居た。
だから月子ちゃんが居たんだ。
そして、ぼくも。
「まぁ、これでだいたいお互いの状況は掴めたわね」
言って月子ちゃんは、おもむろに立ち上がる。
その動作を目で追いながら、ぼくも続いた。
「だからといってあたし達がこうなった原因がわかるわけでもないけど。またこれ、寝たら戻るのかしら?」
「ど、どうだろう、ね…」
確かにぼくらには共通点があるようだけれど、でもどちらかというと異なる点のほうが多い。
ぼくと月子ちゃんは正反対だと思う。
いろんなものが。
どうして、ぼくと月子ちゃんなのだろう。
やはり同時に衝撃を受けたから?
「あとはせめて、入れ替わるキッカケとかひきがねが分かると対処のしようもあるんだけど…こうなんの前触れもなく入れ替わられると、困るわ」
その言葉にぼくは内心ぎくりとしつつも適当に相槌を打つ。
だってぼくには、前触れがあったから。
なんとなく心当たりが、あるんだぼくには。