「…なるほどね。これでなんとなく、繋がったわ」
「…? なに、が?」

「あなたとあたしを繋ぐ糸よ」

月子ちゃんは真顔でそんな冗談みたいなことを言うから、思わずぼくはドキリとした。
月子ちゃんは全く何とも思ってないみたいだったけど。

「さっき、会ったんでしょう。彼女、堀越恭子」
「え、ああ、うん…」

彼女の名前は知らないけれど、そういえばそんな名前で呼ばれていた気がする。
ぼくらの間で共通の“彼女”はきっとひとりしか居ないから、間違いないだろう。
月子ちゃんをいじめている人の名前。

「その桜塚の彼女なのよ。まったくもってお似合いの組み合わせよね。…あたしは特待生として奨学金制度を受けて高等部からこの学校に入ったけど、それからずっと、彼女はあたしが気に入らないみたい。理由は未だに、わからないけれど」
「……!」

あまりの事実に、言葉を失う。

ぼくらの共通点は、“いじめられっこ”だけでなく、なんと“いじめっこ”までおんなじだったのだ。