神様に会えるなら訊いてみたい。
どんな基準で人を分けるのかを。
その価値をどこで決めるのかを。

そして確認するんだ。

ぼくはきっと17歳を迎える前に、そこに行くんでしょう?
…それとも、地獄だろうか。

それでもいい。ここに比べれば。


◇ ◆ ◇


「……ぼくはきっと、生きる資格なんかない…」

言った言葉が長い廊下にやけに響いた気がした。
もう校内に生徒達の気配は一切ない。
それどころか世界には、ひとりきりのような気さえした。

そんなバカみたいなことを思うときは大抵、もうなげやりになっている時で。
後悔と自責と畏怖と絶望とが、綺麗に混ざりあってぼくを動かすんだ。

そして――…

ぎゅ、といつものように自らの手首をきつく握る。
そこに馴染んだぼくの痕はなくて、ようやく自分が今、月子ちゃんの体に居ることを思い出した。

薄暗い視界が少しだけ光を認識し、ゆっくりと顔を上げる。

自分で話しながら、呑み込まれてしまっていたんだ。
いつもみたいに。

「…あたしには理解できないわね」

隣りで月子ちゃんが、ぽつりと呟いた。
その感想は月子ちゃんらしいなと思ったら、少し笑えた。


解り合えないことには慣れていた。