月子ちゃんは泣き続けるぼくが落ち着くまで、何も言わず隣りに居てくれた。
触れ合っているわけでもないのに、月子ちゃんから温もりを感じた。
今朝もそうだ。
月子ちゃんがくれるものは、温かい。
懸命に生きているひとだ。
前を向いて、凛として。
ぼくなんかとは違う。
ぼくは時々、どうしようもなく、生きることを放棄したくなる。
内側から湧く衝動に駆られ、自分では制御できなくなる。
すべて全部投げ出して、楽になりたい。
自由になりたい。
だけど自分を縛っているのが、死への恐怖なのか未来への未練なのか何なのか、わからない。
ただ気が付くとぼくはカッターを手に持っていて、自分の血脈から流れる血をじっと見つめている。
そして心の底から、安堵する。
たぶんやっぱり、逃げているだけなんだ。
死のうとする自分に。