流石にぼくも、気が付いていて、だけどぼく自身が触れられたくなかったから確認なんてできなくて。
だってそんなに訊けないじゃないか。
訊かれたくないじゃないか。
きみもいじめられてるの? なんて。
だけど昨日あの場所で出会ったことがその証だって気づいてた。
彼女の体の、ずっと消えない痛みが、階段から転げ落ちた所為だけじゃないって、気づいてた。
でも心のどこかでそんなの認めたくなかった。
月子ちゃんがぼくと同じ立場の人間だなんて、信じられなかったんだ。
だってぼくと月子ちゃんはまるで違う。
ぜんぜん、違ったから。
ぼくは家でただひきこもっていた。
月子ちゃんは毎日学校に来ていた。
ぼくが家でただ泣いている間、彼女は学校で戦っていたのだ。
…独りで。