認識よりも遅れて、鈍い痛みが右肩に集中する。
指先までビリビリと痛みが走り、力を入れていられない。
でも不思議と痛いという感覚よりも、体は別のものに支配されていた。
声も出ない。
涙も出ない。
なにひとつ、まともに機能しない。
それから彼女は短くまた笑い、今度こそぼくに背を向ける。
その足音が遠ざかり聞こえなくなっても、体はぴくりとも動かなかった。
動かせなかった。
…彼女なんだ。
きっと彼女が、そうなんだ。
目が離せなかったその顔。
脳裏にまで響く声、刻まれる動作。
愉しそうに彼女は笑っていて、その後ろでは別のひと達も笑っていて。
ぼくにはどうして彼女たちが笑っているのか、何がそんなに楽しいのか、まったく理解できなかった。
でもそれは当たり前なんだ。
だってぼくと、ぼくらと彼女達とでは立場が違う。
違うのだから。