「あの、あの時…保健室で、その、“ぼく”を助ける代わりに、月子ちゃんがした約束、ですよね…」
保健室…そうか、あたし達がまだ入れ替わっている、間。
保健室で殴られていたあたしを助けてくれたのは、昴流さんだった。
確かにどうして昴流さんが助けてくれたのかは不思議だったけど、なにやら勝手に約束を取り交わしていたらしい。
でも実際それで助かったので、なんとも言えないけれど。
だけど一体なんの約束を…
それを聞く前に陽太が、ガバリと顔を上げて昴流さんに向き直る。
昴流さんは鬱陶しそうに睨んでいるけれど、お構いなくだ。
「あの…! こんなこと言っても、理解してもらえないかもしれないけど…っ あの約束をしたのは、月子ちゃんじゃなくて、ぼくなんです…!」
「……は?」
まぁ、そうなるだろう。
昴流さんが息巻く陽太のことを、なんだこいつという目で見ている。
陽太の言っていることは嘘ではないけれど、今ここで言ってもムリがあるには違いなかった。
「だから…だから…! これでゆるしてください…!!!」
そして、昴流さんの両肩をがしりと掴んだと思ったら。
「……!」
思いっきり自分の唇を、昴流さんの口に押し当てた。