だけど今は、ちがう。
あの時とは違う。
みっともなくてもいい。
悪あがきでもいい。
やっぱりそれで、世界は何も変わらなくても、もう何もしないで諦めるのはイヤだから。
「助けて…! お願い、誰か…陽太を助けて…!!」
「…うっさいなぁ…」
今度は拳が振り上げられる。
それでもあたしはやめなかった。
教室の隅に固まる、クラスメイト達。
遠巻きにただ見ているだけの、傍観者。
顔を背けて、耳を塞いで。
確かにそれが正解かもしれない。
でも、あたしがやめなければ、諦めなければ――誰かに、届くかもしれない。
世界が変わるかもしれない。