お父さんが死ぬ間際。
あたしは神様に必死に祈った。願った。
お願いします、助けてって。
何度も何度もすがった。
代わりにあたしがいくらでも、罰を受けるから。
命も未来も全部、差出だって構わないからって。
だけど神様は絶対に、かなえてくれない。
助けてくれない。
この学校に入学した時。
外部入学生だけでの入学説明会の後、渡り廊下であたしは初めて堀越恭子に会った。誰かにぶつかって荷物をぶちまけたとか喚き散らしていたので、注意した。
それが、はじまり。
本当にそれだけの理由かはよくわからなかったけど、あたしの何かが彼女の気をさかなでたらしい。
その日からあたしは、会う度に彼女に、彼女たちに殴られる日々が始まった。
…一番最初は。
やめてって何度も言った。素通りする人たちに、先生に。
助けてって何度も叫んだ。
だけど結局誰も助けてはくれなかったし、こんな世界がふいに変わるなんてこともありえなかった。
だからもうみっともなく誰かに助けを求めるのはやめよう。
ムダなことは、やめよう。
そう決めていた。
…だけど。