ありったけの力を振り絞り、彼女たちの腕を振りほどく。

「きゃ…!?」
「ちょっとアミ、なにしてんのよ…っ」

「だってアイツ普段抵抗なんかしないのに…あ、ちょっと!」

解放された体で、陽太のもとに走る。
だけど途中で捕まってしまい、床に蹴飛ばされた。
すかさず堀越恭子があたしに馬乗りになり、力いっぱい頬を打たれた。

「いい気になんなって言ってんでしょう…!?」
「……っ」

口の中に血の味が広がる。
だけどそんなのどうでもよかった。

もがくけど彼女はどいてくれない。
冷たい視線は突き刺さるだけ。
視界の端で陽太と目が合う。

「月子ちゃん…っ」

血だらけだ。
このままじゃ本当に、死んでしまう。

…どうして?

「……て」

誰も、助けてくれなかった。
叫んでも泣いても、誰も。
あたしのこと、助けてくれなかった。

「たす、け…て…」

でも、もういいの。
それでもいい。
あたしのことは助けてくれなくても。

――だから

「陽太を…助けて……!」