――触らないで…!

そう心の内で叫ぶけれど、だけど声にはならない。

それからムリヤリに体を起こされ、今度は仰向けに押さえつけられる。

「飼い犬のしつけっつーか…まぁ悪いコにはおしおきが…必要だろ?」

その手が、胸元に伸びてくる。
あたしを見下ろす歪んだ顔と、カメラのレンズ。
背筋が凍る。
何をされるかなんて、イヤでも想像がついた。

「……ッ」

恐怖で声が出ない。

あの日の光景が、甦る。
あの日の赤い夕暮れが。

燃えるように赤かった。
誰も助けてくれなかった。

「高く売ってやるからせいぜいイイ顔しろよ」