月子ちゃんもおんなじだと思った。

死んだ人間に縛られて、縛って。
抜け出せないでいる。

…本当は。
謝れたらどんなにいいだろう。
お父さんと仲直りさせてあげられたら。

きっと伝えたいのはたった一言なのに、それはどうしたって伝わらない。
届かない。

ぼくもそう、何度も思ってきた。
日向兄さんに、謝りたいって。
――会いたいって。

でもそれは、決してできない。
どんなに願ったって、望んだって。

ぼくが…ぼく達が超えていかなきゃいけないのは、きっとそういうもの。

立ち向かうべき最後の敵は、桜塚や堀越恭子やこの残酷で理不尽な世界なんかじゃない。

誰かを恨んだり自分を嫌いになるより、自分を、好きになりたい。
そしてきみの隣りに居たい。
同じ世界できみと、笑い合う未来がみたいんだ――

だからお願い、あともう少しだけ…そこで、見守っていて。
ぼくに、勇気を、彼女を守る力を…一緒に、願っていて。
あとはぼくひとりで、なんとかしてみせるから。

…見ていて。