急いでベッドから這い出て、適当に着替えて学ランだけ羽織る。

学校に行くなら、定期…カバンは、どうしたっけ

痛む頭を押さえながら、あたりを見回す。
カバンは机の脇にかけられていて、そして机の上にあるぼくの携帯が、チカチカと光っていた。

デジャヴだ。
もちろんいい予感はしない。

結局この携帯電話は、悪い報せしか運んでくれない。
だけど少し前までぼくは、死ぬほどこれが大切だった。
手元にないと不安で仕方なかったんだ。
今となっては理由もよく、わからないけれど。

ぼくは自らを嘲るように少しだけ笑って、携帯電話を手に取る。
メールが1通だけ届いていて、送信元は案の定、桜塚だった。

その内容を確認し、携帯電話をまた机の上に戻す。

そして部屋を、後にした。