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雲ひとつない晴天だった。
これなら天国まで迷わず行けるかな。そんなことをぼんやり思う。

『陽太は陽太なりに、勇気を出したみたいだよ』

そう言う日向さんの顔は“お兄さん”の顔をしていて、どこか晃良さんと似ている気がした。

『きみは、どうする…?』

空っぽの屋上。
もうここには誰もいない。
そう、誰も。

『……あたしももう…行くわ…』

響くアナウンスの音が、空気をビリビリと揺らしていた。
今あたしの体は、ここには無いのに。
だけど体中に電流が走っているようだった。
まるで彼の心が、放っているみたいだった。

『彼の体も、ちゃんと返してあげなくちゃ…それに…』

顔を上げて、日向さんをまっすぐ見つめる。

このひとはずっとここに、居るのだろうか。
…ずっと、ひとりで。

『彼をもう、ひとりにはできないから。…約束、したの』

晃良さんに、訊かれた。
あたし達はどんな関係だろう。

ただのクラスメイトではなくなった。
だからと言って友達ってわけでもない。
だけど確かなことがあった。

お互いが必要としている限りは、ずっと。
隣りに居るって、あの時確かに思ったんだ。

「これから先も、傍に居るって」