捨ててしまいたかった。
こんな、体。

せめて男に生まれてたら、ちょっとは楽だったのだろうか。
それもおかしな話だけど。

哀しいのかもよくわからなかった。
気がついたとき、あたしはひとりで。

頭上には星が瞬いてたし、月も綺麗だった。

どんな気持ちでも、どんなことが起こっても、変わらずこの世界は美しくて、あたしに起こる出来事になんて無関心だ。
きっとこの世界にあたしが在ようが居なくなろうが、どうでもよいのだろう。

じゃあ、あたしがここにいる意味は?

あたしじゃなくてもいいのなら、誰か代わってくれたらいいのにと思った。
そんな最低なことを平気で思った。

――誰か――。

そしたら目の前に彼が現れた。

『――…月子ちゃん』


ああそうだあたしが。
あたしが彼を、呼んだんだ。