晃良兄さんが笑った顔を、ぼくは生まれてはじめて見た気がした。

忘れているだけかもしれない。
覚えてないだけかもしれない。
だけど今のぼくにとっては、初めてだったから。

胸が知らず、熱くなった。
だけどそれはこの体じゃなくて、ぼくの。
ぼくの体が、言ってるんだ。
呼んでるんだ。

変わりたいって。
もう、逃げたくないって。

ぼくの体がぼくを呼んでいる。


ねぇ、月子ちゃん。
ぼく達にはきっとまだ、これからたくさんの“初めて”が待ってる。
もしかしたらその中には、ずっと前に諦めてしまったものも、あるかもしれない。

あるかも、しれないよ。
そこには。