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うちは貧乏大家族だ。
しかも母子家庭。
そしてあたしは6人姉弟の長女。
父親は2年前に病気で他界した。
それ以来、看護師の母親は夜勤中心の勤務になり、家に帰れない日の方が多い。
そうすると必然的に家事はあたしがすることになる。
でもそれがイヤだとか苦痛だとか思ったことは一度もない。
勿論あたしひとりで全部をやっているわけではないし、ムリしているつもりは無いけど、これはあたしの義務だと思ってる。
今までも、これからも。
6人分のお弁当に朝・夕のごはんの準備に洗濯に掃除。
家事はすべて朝の内にやっておく。
なるべくはやく帰って来るようにはしてるけど、時々、はやく帰れない日があるから。
朝の内に準備しておけば、兄弟の内の誰かしらがきちんと引き継いでくれるのだ。
「月子ちゃん、おはよぉ…」
「おはよう、弦(ゆづる)。ごはん炊いておいてくれてありがとう」
あたしの次に朝はやく起きてくるのが、次男の弦。
主に家事を手伝ってくれる優しくて面倒見の良い弟だ。
「月子ちゃん今日学校だって言ってたから…」
「うん、すごく助かった」
家族兼用のエプロンをしながら隣りに立つ弦が、「良かった」と笑う。
それから作りかけのお味噌汁を引き継いでくれた。
「朔夜(さくや)もバイトだって言ってたから、瑠名達のことよろしくね」
「そっか…そうだ、月子ちゃん聞いた? 朔夜くん、またバイト増やしたんだって」
「…そう、なの…聞いてない」