『でもそれも、なくしちゃったんでしょう…?』
日向さんが一歩、あたしに近づく。
あたしの足は動かなかった。
『痛みを、傷を、思い出して。それできみは、生きていけるの? これからもずっとそれを抱えて。傷も痛みも、きっと絶えない。これから先も、きっとずっと。ここはそうゆう、世界だから。それは永遠に、変わらない。こんな理不尽で残酷で卑劣な世界で…きみはひとりで、生きていけるの…?』
生きていくしかないって、わかってた。
だってそれがあたしの、罰でもある。
お父さんはそこに居るかもしれない。
だけどきっとあたしはそこには行けないから。
『ぼくも、そうだよ…ずっと、信じてた。大丈夫だって。まだやれるって…そう、信じてた。…だけど、ダメだった。そうしたらぼくはいつの間にか…こんなところまで、来てしまったよ』