「あの…朔夜く…、朔夜は、あたし、のこと…どう、思ってる…?」
「……はぁ?!」

ぼくの突然の問いに、朔夜くんは勢いよくガバリと顔をこちらに向ける。
よっぽど予想外の質問だったのだろう。顔が真っ赤だ。

「な…! なんだよ、どうって…!」
「あ、あの…お姉ちゃんとして…どうなのかなって…その、ほら、いつの間にかみんな、“お姉ちゃん”て呼ばなく、なったでしょう…?」

月子ちゃんはずっと…自分が長女という責任とプレッシャーに押し潰されそうになりながらも、自分が信じる道を歩んできた。
だけどもうそれが、信じられなくなってしまったんだ。

だから多分、拒否してしまった。
自分という存在を。

月子ちゃんの強い想いは、きっとぼくの体に持っていけなかったんだろう。
ぼくは目覚めてから少しだけ、月子ちゃんの心の中を垣間見ることができた。

月子ちゃんの体に残る、想いを。

「あたしは…お姉ちゃんとしてちゃんと、できてたのかな…」