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「いつまでアイツ、部屋で寝かせとく気だよ」

朝食後、部屋のドアの前で突然かけられた声に振り返る。
そこには不機嫌そうな顔をした朔夜くんが居た。

確か朔夜くんはすぐ隣りの部屋だ。
ごはんを食べてすぐに席をたってしまっていたけど、ぼくが部屋に戻るのを待っていたのかもしれない。

朝食の際に、もう体調は大丈夫だとみんなに伝えた。
月子ちゃんのお母さんは、心底ほっとした顔で微笑んでいた。

今日は仕事を既に休んでいてくれたらしい。
朔夜くんも、バイトを休んでくれていた。
久しぶりの家族揃っての朝ごはんだと、弦くんは嬉しそうだった。

それから弦くん達を学校に送り出し、月子ちゃんのお母さんは瑠名ちゃんを幼稚園に送り届けに出ている。
いまこの家には朔夜くんとふたりきりだった。
…訂正。意識のないぼくの体にいる月子ちゃんとの、3人きりだ。

「そりゃあ感謝はしてるけど…アイツは他人だろ、わざわざ泊めてやる必要あったのかよ、しかもお前の部屋に」
「あ、えっと…」

ぼくは内心焦りながら、言葉に詰まってしまう。

月子ちゃんの部屋ではまだ、“ぼく”が眠っている。
起きる気配はやはりなかった。