そんなことない。
いつだって自分のことしか考えず、取り繕う為だけに“良いお姉ちゃん”のフリをしてきた。
そうなりたいんじゃなくて、そうあるべきなんだと。
『お父さんは…きっと、気付いてたんだ…だからわたしが医者になりたいって言ったとき…反対したんだ…!』
12さいの、わたし。
図書室で読んだたくさんの本。
お父さんがなんの病気なのか、いつもなんとんなくはぐらかされて、知らずにいた。でも、難しい漢字も読めるようになって、知識を身に着けるようになって。
お父さんの症状や飲んでいる薬から、該当する病気名を絞り込んだ。
浅い知識だとはわかっていた。
でもお父さんもお母さんも、教えてはくれないから。
自分で調べるしかなかったんだ。
お父さんはもしかして長くは生きられないのかもしれない。