だけどこのままずっとこうして居るわけにもいかない。
最悪このまま元に戻らず目も覚まさなかったままだとして、晃良兄さんか母さんに、迎えにきてもらうしかないだろう。
一応昨日の段階で晃良兄さんには友達の家に泊まるとメールしておいたけれど…まさかこんなことになるなんて、思わなかった。
ピピピ、と体温計が小さく鳴る。
小さな意識を抑えてパジャマの下から体温計を取り出し目の前にかざした。
「……36.4℃…」
高くはない。月子ちゃんの平熱は知らないけれど、体の感覚としては嘘みたいに良好だ。
時計を確認すると朝の6時少し前。
月子ちゃんが気になってはいたものの、ぼくも少し眠っていた。
起きたらもしかして元に戻っているかもという一縷の望みは儚く消えていたけれど。
目を覚ました時にはもう、台所から物音と人の話し声が聞こえてきていた。
本当なら月子ちゃんも、お手伝いしている時間帯だ。
ぼくはどうがんばっても、月子ちゃんと同じことはできない。
だからまずはできること。
そう自分に言い聞かせて、ベッドから出る。
今日は学校は、休もう。
月子ちゃんとしては不本意かもしれない。
だけど怒られても呆れられてもいい。
月子ちゃんの体にこれ以上ムリをさせない為にも、学校には行かない方がいい。
それにこんな状態の月子ちゃんの傍から、できる限り離れたくなかった。