気がつくとあたしは、真っ白い場所に居た。
どこまでも白く、果ては見えない。
眩しいくらいの白に、自分の体の輪郭も次第に溶けて消えていた。
あたしがあたしという存在を証明するものはもう何もない。
あたしは“あたし”を捨て去ることが、できたのだろうか。
『……、…』
声が、した。
途端に視界がぼんやりと滲む。
少しずつ浮き彫りになる景色と輪郭。
いつの間にか馴染んでしまった、見覚えがある場所。
彼の、“鈴木陽太”の部屋だった。
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