それにしてもこうして会話を交わしても違和感を拭えない。
昨日だって散々会話していたけれど、初対面にしか思えない。
まぁ見た目が違うんだから当たり前か。
「………確かに、目立つわね」
思わず零れたあたしの言葉に、彼は何のことだがすぐに察しがついたらしく、ばつが悪そうに顔を歪めて俯く。
昨日、眠る前に彼の髪についていたカラースプレーは洗い落とした。
枕やふとんが汚れてもイヤだったし、何より頭が気持ち悪かったし。
その時は明かりもつけずに手早く髪だけ洗い流してすぐに寝てしまったから、気がつかなかった。
だけど今こうして改めて彼の風貌を見て、彼がわざわざカレースプレーで黒く染めていた理由を理解した。
確かにこれは、目立つ。
良い意味でも悪い意味でも。
「…あんまり、見ないで…好きじゃないんだ、自分でも」
言った彼は哀しそう顔を背け、制服のブレザーの下に来ていたパーカーのフードを被る。
差し込む朝の日に反射するのは、プラチナブロンドの髪。
彼の血筋の表れで、そしてすべての元凶だと昨日吐き出していたのを思い出した。