『あたしの将来をあたしが決めちゃいけないの…?! うちが…! 貧乏だから…?!』
『月子…!』
お父さんもお母さんも哀しそうな顔をしていた。
お母さんのお腹の中には、もう瑠名が居た。
ずっと欲しかった、妹だ。
だけどこの時はもう、何も考えられなくて。
そんなこと言うつもりは微塵もなかった。
勝手に口が動いていた。
涙も勝手に溢れていた。
すべてがあたしの制御を外れていた。
ダメ、と思った時にはそれは既に、口から吐き出されていた。
『…生き方すら選べないなら…自由に生きられないなら…! 生んでくれない方が…よかった…こんな家…生まれてきたく、なかった…!』
浅はかで、幼稚で、感情の抑えられない愚かな子供だった。
だけどそれはその時のあたしの紛れもない本心だった。