それから静かに部屋を出て行くその小さな背中を見送る。
部屋にはまた、ぼくと月子ちゃんのふたりきりになった。
でもすぐ壁1枚向こうには、みんなが居るはずだ。
朔夜くんや弦くん、満くんに望くんに瑠名ちゃん。
さっきの話の違和感にぼくは気付いていたけどなんとなく、それを確認する気はなかった。
だってそれはそんなに、重要なことではない気がしたから。
月子ちゃんのお母さんが見上げていた月を、ぼくも見上げてみる。
例えば天国があったとして。
そこには月も昇るのだろうか。
やっぱり別の、空なのだろうか。
そんなバカみたいなことを考えて見上げる月は、いつもと変わらずまるくて明るい。
でも変わらないわけじゃない。
月は欠けるし明かりも消える。
いつか、かならず巡る。
だけどその中で、今日の月は明るかったから。
ぼくは少しだけ、ほっとした。
「……あたし、よ…」
その小さな声は、自分のすぐ脇から聞こえてきた。
見上げていた視線を、ベッドに戻す。繋いだ手はそのままに。
そっと覗き込むと、月子ちゃんがうっすらと目を開けていた。
だけどまだ意識が朦朧としているのか、その視線は天井に注がれている。
薄暗くて、その表情はよくわからなかった。
「…月子ちゃ」
「傷つけたのは…あたしなのよ」
