ひとりぼっちの勇者たち



月子ちゃんが保健室からぼくを逃がした後。

ぼくらを隔てるたった1枚のドアすら破れないぼくは、せめて誰か助けを呼ばなくちゃと校内をふらふら彷徨っていた時、偶然通りかかったのが昴流さんだった。

ぼくが知っている中で、あの扉を破って月子ちゃんを助け出してくれそうな人――会った瞬間に、それはもうこの人しか居ないと思った。
昴流さんしか居なかった。
それは決して、ぼくではなかった。

昴流さんは泣きついたぼくに一瞬眉根を寄せたけれど、ひとつだけ条件を差し出し、それをぼくは呑んだ。
なんだっていいから、どうなったっていいから、今すぐ彼の力が必要だった。
必死だった。

そしてその後、見事に保健室から月子ちゃんもとい、ぼくの体を助け出してくれた。

その後もとに戻った月子ちゃんの体を、意識を失ってしまった月子ちゃんを、家まで運んでくれたのも昴流さんだ。
ぼくも途中までは抱きかかえて逃げていたのだけれど、途中から集中の糸が切れ、自分の体の痛みに耐え切れず昴流さんにバトンタッチしたのだ。

ぼくは結局。
ぼくじゃ結局。

月子ちゃんを助けることは、できなかったんだ。