ふと手の中に、ひやりと冷たい感触がした。
なんだろう。
熱の篭る体に心地よい冷たさ。
それになぜだか、ほっとした。
まるでお母さんに頭を撫でられた時のような。
だけど視線は天井に縫い付けられたまま。
それを確認することすらできない。
開いた瞼をゆっくりと閉じる。
心なしかすぐ傍に、誰か居る気がした。声が、する気が。
でもきっと気のせいだ。きっと誰も、いない。
このまま眠ろう。起きたばかりだけれど、まだ眠いから。
ああ、でも、夕飯の準備をしなきゃ。
洗濯物はこんだかな、お風呂の掃除は…今日は誰の当番だっけ。
狭くて小さい家には、いつも家族7人が、ぎゅうぎゅうで暮らしている。
それをイヤだと思ったことはない。
“お姉ちゃん”でいる時間は、ほっとした。
あたしだけの居場所だった。
だけどそれなのにいつもどこか……淋しかった。
