あたしの様子を確認した途端、泣きべそをかいていた顔が、さらにぐしゃぐしゃになる。
まるで泣きじゃくってる子供だ。
そんな風に泣いたこと、ないのよあたしは。
「月子ちゃん…っ、…ぅ、っく、月子、ちゃ…!!」
…ばか、ね。
今あたし達は、入れ替わってるんだから。
あなたがそう呼んだら、おかしいでしょう?
そんなことより、どうして逃がしたはずのあなたが、ここに居るのよ。
あたしが、何のために…一体、なんのために。
疑問はいくつも湧き言いたいことはたくさんあったけれど、でももう言葉すら発せなかった。
どうしてだろう。
一度諦めてしまったからだろうか。
力が出ない。
「…なんだ、コイツ…」
目の前の桜塚の視線が、彼を、“あたし”の姿を捕える。
だけど彼はまっすぐ、あたしを見つめていた。
あたしに歩み寄っていた。
「は、なに…コイツを、助けようっての? もしかして」
笑いながら桜塚が、その手をゆっくりと伸ばす。
その手に気付いていないのかはわからない。彼は止まろうとしなかった。
だめ、やめて。
声が出ない。指一本動かせない。
振り絞れるものが、あたしには残っていない。
もうなにひとつ、あたしには。
「月子ちゃん…!!」
どうして彼は、あたしを呼び続けてくれるんだろう。
見捨てないで、居てくれるんだろう。
