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…いつからだろう。
朔夜が、弦たちが、あたしを名前で呼び始めたのは。
朔夜は…覚えてない。本当にいつの間にか、だった。

でも弦たちはそう、覚えてる。お父さんのお葬式の後からだ。
“お姉ちゃん”って、呼ばなくなったのは。

『……俺は…』

それまであたしは“良いお姉ちゃん”であろうと必死だった。
そうしないともう、家族の中に居られない気がしていたのかもしれない。
必死に、取り繕って。
だけど粗い縫い目はいつしか広がって。

『月子のこと“姉”だなんて思ったこと…1度もない』

まるでドラマか小説みたいなセリフが、朔夜の口から零れて落ちた。
だけどそれは現実で、そしてそれは、当然の報いだった。