結局、外に出ることも上手い隠れ場所を探すこともできなかったぼくが、咄嗟に入り込んだのはベッドの下。

せめて別のベッドの下ならまだ良かったかもしれない。
こんな、至近距離。
見つかるのも時間の問題だ。
心臓が早鐘を打つ。

否応なく胸に押し付けられている月子ちゃんには、きっと聞こえているだろう。
申し訳ないけど、ぼくなんかに抱き締められたくなんかないだろうけど、仕方ない。
とにかく今は、運よくやり過ごせることを、祈るしか――

「学校にはまだ居るっしょ。ぜってー探し出してやる」

そう言った堀越恭子の声に、ひやりと冷たいものが背中を滑った気がした。

どうして…どうして、そうまでして。
一体月子ちゃんに、なんの恨みがあるというんだ。
なんの非があるというんだ。

おそらく携帯をいじっているだと思われる、カチカチという音だけがものすごい速さで室内に響く。
他のふたりも携帯を取り出したのだろう、会話が一瞬途切れた。

だけどそれは一瞬で、すぐまた堀越恭子が口を開いた。

「今日、健太達も学校来てるから、手伝わせるわ。最近あっちの獲物もなんか反抗的らしいし、きっと鬱憤溜まってるだろーし」