そっと、カーテンの内側にするりと滑り込む。
月子ちゃんはベッドの上で浅い呼吸を繰り返している。
目を覚ます気配はない。
真っ白いシーツに月子ちゃんの黒髪が緩く流れて、月子ちゃんの顔色は青白くまるでマネキンみたいに無機質に思えた。
胸が、痛くなった。
ぎゅう、って。締め付けられるみたいに。
「……ん…」
月子ちゃんの口から、小さく声が漏れた。
ぼくは慌ててベッド際に膝をついて、月子ちゃんの顔を覗き込む。
「月子ちゃん…?」
「……さ…」
苦しいのか、月子ちゃんの表情が歪み、みるみる呼吸が荒くなっていく。
こんな月子ちゃんの表情を見るのは、初めてだ。
いつだって冷静でクールで無表情に近い月子ちゃんの。
よっぽど、辛いんだ。苦しいんだ。
月子ちゃんだって、ただのひとりの人間だ。
どんなに強くて平気そうに見えたって、まだたった17歳の、女の子なんだ。