「…ううう、月子ちゃん…!」
呼んで、どうしたいのかもわからないくせに。
ただ無意識に口から漏れただけの情けない自分。
こんな時に結局は、助けてって思ってる。月子ちゃんに。
ぼく、月子ちゃんを助けにきたんじゃなかったっけ。
それもやっぱりおこがましいんだ、ぼくなんか。
さんざん迷った末、月子ちゃんの携帯の番号をコールした。
もはやぼくひとりの力の限界を超えていた。こうなってはここからひとりで動くことすらままならない。
機械的な呼び出し音が、全身に振動を伝える。
どくどくと、騒ぐ弱虫な心臓は相変わらず。
やっぱりぼくは、変われない。
いつも、誰かと、途方もない助けを求めるばかりの、意気地なし。
変われるわけないんだ、こんなぼくが――
『……もしもし…?』
「…っ、つ、月子ちゃん…?!」
どうしてだろう最近は、きみのことばかり呼んでいる気がする。
きみの名前ばかりを、呼び続けている気がするんだ。
だって月子ちゃんはいつだって、呆れた顔しながら結局は。
ぼくを助けてくれるから。