「どうして、月子ちゃんは、平気なの…! あんなことされて、傷つけられて、死ねって言われて…! ぼくは、本当に、死んでしまいたくなる…死ねって言われる度、死にたいって思う…でも自分じゃ上手く、死ねないんだ…ぼくがこんなに、臆病で弱虫だから…! だけど、死ねって言葉は、本当にひとを殺せる…少なくともぼくを殺せる。だってこんなに、痛くて、辛くて、苦しくて…! きっとみんなが死ねって言ったらぼくは」

「じゃあ死なないわよ」

彼のぼたぼたと零す涙が、ベッド脇についていたあたしの手をも濡らしていた。

右手に巻かれた包帯に、彼の涙が染み渡る。

右手はもう痛くなかった。


「あたしは言わないもの」