彼のブロンドの髪は、人工的のものとは違って暗い部屋でもキラキラしていた。
それともカーテンの隙間から覗く月明かりのせいだろうか。

初めて日の光の下で見た時のことを思い出す。
太陽の下よりも月の下のほうが、ずっと綺麗だと思った。
ただの錯覚かも、しれないけれど。

あたしの問いに彼は暗闇の中でわずかに目を丸くした後、やっぱり笑った。

「……どうして…?」
「…お兄さんが」

「ぼくなんか死んだ方いいって?」

彼から出てきた言葉に思わずむかっときた。

なんで、そうなるのよ。
そんなこと言ってないじゃない。

「わかってる…ぼくなんか死んだ方がいいってことくらい、ぼくが一番よく、わかってるよ…!」
「…ちょっと」

ゆっくりとあたしから、視線を逸らす。
ふとんを握っていた彼の手が、ぎゅう、と自分の右手首を掴むのを、視界の端で見つめた。

彼の顔色が明らかに変わったのがわかった。