袋の中には水とポカリと冷却シート、それから薬が入っていて、彼がここに来る時に買ってきたものだとすぐわかった。
コンビニの袋のすぐ近くには、あたしのカバンも一緒にあった。

「なんでもっとはやく出さないのよ…」

気付かなかったあたしもあたしだ。
思わず唇を噛み締めて、袋の中から冷却シートの箱を取り出しながらベッドに近づく。
本当は冷蔵庫で冷やしておくべきだったのだけれど、今更だ。
箱の中から1枚取り出して、ビニールを剥がす。

「月子ちゃん…?」
「おでこ、出して」

あたしの言葉に、素直に長い前髪をのろのろとかきあげる。
おでこの真ん中にペタリと冷却シートを貼った。
触れた彼のおでこも手も、ひどく熱かった。

「つめたくてきもちいい…」
「…そう、良かったわね」

素っ気無く言った言葉に彼はふにゃりと笑った。
部屋は相変わらず薄暗かったけれど、これぐらいの至近距離なら表情までわかる。

いつまでも動こうとしないあたしを不思議そうに見る彼と、目が合った。

「…死にたいの?」

あたしは一体どんな顔をしていただろう。

痛くないと思っていた右手の傷が少しだけ痛んだ。