帰りますと3回くらい言ったけど、結局断りきれなかった。
流石にそれ以上は断りづらくて、結局促されるままにあたしはデザートを頂くことになってしまった。
なぜかあたしは今再び鈴木家の食卓にいる。
今度は彼の代わりではなく、あたしのままで。
大きなテーブルの端の席に促され、もはや半ば諦めた気持ちで座った。
お兄さんも一緒に席についたけれど、こっちを見ようともしない。
当たり前だ、こんな得体の知れない怪しい相手。
あたしだったらとっくに追い出してる。
お兄さんの反応はある意味正解だ。
ふと席についた時の景色が違うと思ったら、この前の席とは違うからだ。
この前はお兄さんの隣りの席だったけど、今は斜め前の席に居る。
…この前と言っても、彼に代わってこの食卓についたのは、つい昨日のことなのだ。
いろいろあり過ぎて時間の経過に体がついていかないけれど。