◆ ◇ ◆


「…月子、ちゃん…?」

呼ばれる声に、重たい瞼を持ち上げた。
くるまったふとんから頭だけ出して、相手を確認する。

ベッドのすぐ脇、そこには情けない顔をしたあたしの顔があった。

驚かなかった自分の順応力を褒めたい。
驚く気力すらなかったのだけれど。

「た、ただいま…」

この体とこの部屋の本当の主が、帰ってきたのだ。

「……んで…」
「だ、大丈夫…?! つ、つらいでしょう、ごめんね、今ポカリと薬…」

「なんでこんなになるまで、ほっとくのよ…っ」

ダメだ。
いつもの威勢も出てこない。
声を絞り出すだけでやっとだった。