◆ ◇ ◆


体が、だるい。
重たくて指一本動かせない。
全身が針で刺されたように痛い。

自分の体温すら感じられなくて、本当は死んでしまっているんじゃないかと思った。

ふとんの中で、ぎゅう、と丸くなる。
でも何ひとつ感覚が感じられず、自分がここに居ることさえ、嘘のように思えた。

このまま小さくなって、塵になって、消えてしまえれば、きっと――
でもそれは、逃げでしかない。
あたしの罪だけを、遺していくわけにはいかない。
あたしはあの家の、長女なんだから。

『―…ぶ…?』

声が、聞こえた。
誰のだろう。
いつのだろう。

『月子、大丈夫…? どうしてこんなになるまで、言わなかったの…!』

お母さんの声、だ。