ガタガタとクラスメイト達が自分の席につく。
教室内の空気は一瞬で、切り替わった。
まるで日常の風景みたいに、何も起こってなどいないように、平気な顔で。

彼女は舌打ちをひとつ残して足をどけた。
堀越恭子たちは授業などはなから受ける気などないらしく、気だるげに教室からぞろぞろと出ていく。

堀越恭子が、教室から出る間際に吐き捨てるように。

「──死ねばいいのに」

──ぼくも、そう思う。
ずっとそう思いながら生きてきた。自分のこと。

じわりと歪む教室が、記憶の中で繋がる。

一番最初にそう言われてから、何度かガンバって教室に行ってみたけれど、そこにはぼくの居場所なんてもう無かった。

何度もそう言われて、みんなのぼくを見る目がそう言ってる気がして、言葉が具現化していくような錯覚を感じた。

だからぼくはあの教室から消えることにした。

きっとぼくなんか、いない方がいい。
そう、何度も、思った。

だからぼくはあの部屋で、ひとりその時を待っていた。

──だけど。
だけど月子ちゃんは、ちがうよ。

絶対ぜったい、違うよ。