何を言ってるんだろう。
でも、わかってる。
理解なんてできないってこと。
聞くだけムダだってこと。

相手にしなきゃいい。
聞かなければいい。

だけど目を逸らすことも、耳を塞ぐことも、できなくて。

右手の感覚がなくなっていく。
体の感覚がすべて、それこそ本当に全神経が麻痺してしまえばきっと楽なのに、そんなわけはなくて。
そんなわけは、ないんだ。

何にも感じないわけ、ないんだ。

堀越恭子が楽しそうに、誰に聞かせるでもなく声を張り上げて言った。

「だってさ、このヒトほんと、神経繋がってないんじゃないかと思うんだよねぇ。もう、ビョーキじゃない? 何されても無反応、無表情って、コワくない? 来んなって言っても学校来るしさぁ、みんなも正直、いい加減鬱陶しいよねぇ。自分の席ないくせに、他人の席とってまでさぁ、どんだけおベンキョに命かけてんの? マジ図々しいっていうか、神経図太いっていうか、無神経っていうか。まぁ家もビンボーだし、それしかすがるもの無いのもわかるけどさぁ、こっちはホント迷惑なわけ。わかる? あたしがみんなの気持ち、代表して言ってんの。あんた、なんでココ居んの? 生きてて楽しい?」


始業のチャイムが鳴り響いた。