帰ろう。

何か食べ物と飲み物と、それから薬を買って。
今度はちゃんと、何か胃に入れてから薬を飲んだ方がいい。
ぼくだったらどうでも良かったけど、月子ちゃんに替わってしまった以上、ちゃんと治してあげなくちゃ。
またいつ元に戻るかわかないし。

帰ろう。

こんな格好で、こんな顔で、教室になんて行けない。
とても行けるわけない。
月子ちゃん自身は、そんなこと気にしないだろうけど。

でもぼくは、月子ちゃんではないのだから。
月子ちゃんには、なれないのだから。

月子ちゃんも、きっと待ってる。
あんな辛い状態でひとりは、きっと心細い。
寂しい。

…でも、それは…ぼくだから、だろうか。

じゃり、と砂を踏む足が、止まる。
じわりと視界が滲んだ。


月子ちゃんはきっとぼくのことなんか、待っていない。