ぞくりとした。
さっきとは違う意味で。
背筋が凍るような感覚。
彼が敵意という牙を剥いたのを体で感じた。
「なんなのそれ、なんのアソビ? …あぁ、この前もソレだったんだ?」
「え、っと、そ、の…」
どうしよう、よく分からないけど、怒らせてしまった。
やっぱりぼくに月子ちゃんのフリなんて、無理があったんだ。
ぼくが退いた二歩を、昴流さんの一歩が0にする。
ぼくが必死に空けた距離は、一瞬でなくなった。
こうして改めて間の前に立たれると、おそろしいほどの身長差。
ぼくを見下ろすその顔が、日の光に陰る。
なのにその目は曇らない。翳らない。
「やっぱさぁ、人間関係変わると、変わっちゃうものなのかなぁ…」
「……」
何を言っているのか、どういう意味なのかはわからない。
わかたっとしても、もう何も言えない。
ただ見上げることしかできない。
その大きな手が、するりと首に伸びてきた。
力はあまり入っていない。触れるだけ。
だけどほんの一瞬で、きっとこの手はぼくを握り潰せる。
…ちがう、これは、月子ちゃんの。
月子ちゃんの体なのに。
体が、震える。
あまりの恐怖に。
「俺さぁ、自分のオモチャ他人に触られんの、だいっきらいなんだよね」